虫歯と並び、歯を失う原因の一つとして知られている歯周病ですが、実際には虫歯よりも歯周病で歯を失う人が多いのが現状です。かつては年齢を重ねると歯周病になるのは避けられないと思われていましたが、現在では正しいケアを行うことで予防や進行を止めることが可能であるとわかっています。
歯周病は歯を失うだけでなく、全身疾患を引き起こす可能性があることもわかっており、歯周病予防は健やかな人生を送るために重要です。当院では、皆様が一生ご自分の歯で食事を楽しめるよう、歯周病治療と予防に力を入れています。
歯周病は進行性の病気で、治療を行わずに放置すると、次第に症状が悪化します。以下は、歯周病の進行段階とそれぞれの特徴です。
歯肉炎は、歯周病の初期段階で、歯茎(歯肉)に炎症が起きている状態を指します。この段階では炎症が歯茎に留まっており、歯を支える骨や歯根にまで影響は及んでいません。そのため、適切な治療とケアを行えば健康な状態に戻すことが可能です。
主にお子さんや若い世代に見られることが多く、歯茎が赤く腫れたり出血したりすることが特徴です。歯磨きの際に少し出血する程度であれば、軽度の歯肉炎である可能性があります。
歯茎が赤く腫れ、歯ブラシを当てると出血することがあります。また、歯磨きや食事の際に痛みを感じることがあるため、歯茎の状態に注意を払うことが重要です。
歯肉炎が進行し、歯と歯茎の間に「歯周ポケット」が形成され始めた状態です。このポケットに歯周病菌が増殖し、歯を支える骨や周囲の組織を少しずつ破壊し始めます。まだ軽度ではあるものの、歯茎の腫れや出血、口臭などの症状が現れる段階です。
適切な治療を受けることで進行を食い止めることができるため、早めの対応が大切です。
歯茎の腫れや出血に加え、歯茎が下がって歯根が露出し、歯が長く見えることがあります。また、冷たいものがしみたり、口臭が強くなるといった症状も見られるようになります。
軽度歯周炎が進行し、歯を支える骨がさらに破壊された状態です。歯周ポケットがより深くなり、細菌が活発に活動しているため、歯茎の炎症が強まり、歯がぐらつくことがあります。見た目や機能面でも大きな影響が出始める段階です。
物が詰まりやすくなり、歯茎の腫れや膿が見られることもあります。この段階になると、適切な治療を行わない限り進行を止めることは難しくなります。
歯と歯の隙間が広がり、食べ物が詰まりやすくなります。歯茎から膿が出たり、歯並びが変わることで見た目にも影響が出ることがあります。
重度歯周炎は、歯を支える骨がほとんど失われ、歯が極端にぐらつく状態です。咀嚼が困難になるだけでなく、場合によっては歯が自然に抜け落ちることもあります。歯周病の最終段階であり、歯や口腔内の機能が大幅に損なわれる段階です。
歯がぐらついて噛むことが困難になります。痛みや違和感が強まり、進行すると歯が抜けてしまうこともあります。
歯周病は初期段階ではほとんど症状が現れません。歯茎が腫れている、歯茎から出血があるといった初期症状を見逃さないことが大切です。
歯周病が進行するにつれて、治療が難しくなります。早期に治療を開始することで症状を抑え、健康な歯茎を取り戻すことが可能です。
歯周病はひどい口臭の主な原因です。歯磨きや洗口剤では改善できない場合が多く、歯科での治療が必要です。
歯周病は糖尿病、心疾患、呼吸器疾患など、全身の健康にも影響を与えることが知られています。定期的な歯科検診で、歯周病の予防と管理を心がけましょう。
歯周病の治療の基本は、歯周病菌を徹底的に取り除き、歯と歯茎の健康を取り戻すことです。特に歯肉炎や軽度・中等度の歯周炎では、歯周ポケットに付着した歯垢や歯石を取り除くクリーニングが重要です。
これらの治療を通じて、歯周病の進行を食い止め、健康な状態に戻すことを目指します。
重度の歯周炎では、基本的なクリーニングだけでは改善が難しい場合があります。そのため、必要に応じて歯茎の手術を提案させていただくこともあります。
手術を伴う治療は複雑ではありますが、適切に行うことで歯と歯茎の機能を回復させることが可能です。患者様一人ひとりの状態に合わせた治療プランを提案します。